鎌倉のある参道で、早朝に後ろから砂利を踏む音だけがする話
Uさん(仮名・42歳女性・ヨガインストラクター)から届いた話。鎌倉市内の某寺の参道を早朝5時に歩いている時、後ろから砂利を踏む音が3回聞こえた経緯。
管理人としては、鎌倉のような神社仏閣が密集している土地では、地元の人の日常の中に小さな違和感が紛れ込みやすいのかもしれない、と今回の取材で感じた。
朝の散歩
Uさんは鎌倉市内に住んで12年。朝5時に起きて、自宅から徒歩10分のある寺の参道を歩いてから、6時のヨガクラスを始める、というのが日課になっている。
その寺は観光地として有名で、日中は人が多い。早朝5時台は、参道に人がほぼいない。地元の住人と、散歩中の犬連れが時々いる程度。
参道は石畳ではなく砂利敷き。砂利のサイズは小さめで、歩くと音がよく出る。Uさんは普段、自分の足音以外は意識していなかった。
1回目の音
最初に気づいたのは、半年前の早朝。参道の中央あたりを歩いている時、自分の足音とは別に、砂利を踏む音が後ろから聞こえた。
振り返ると、誰もいなかった。参道の前後どちらにも人はいない。両脇は林で、人が隠れる場所もある、というほど深い茂みではない。
気のせいだろうと思って先に進んだ。しばらく歩くと、また音が聞こえた。歩くペースに合わせて、後ろから一定の距離で。
その日は、参道の終点まで聞こえた。鳥居を抜けて舗装路に出た瞬間に、止まった。
2回目、3回目
2回目は、それから1ヶ月後。同じ参道、同じ時間帯。同じパターン。
3回目は、そのさらに2週間後。Uさんは、3回目の時に、振り返るのをやめて、足音のリズムだけを意識して歩いた。後ろの足音は、Uさんと完全に同じリズムで、同じ歩幅で、同じ距離を保って付いてきた。
寺の関係者に聞いた
3回目の体験の数日後、Uさんはその寺の境内で、清掃をしていた年配の僧侶(70代)に話しかけた。
「早朝に参道を歩くと、後ろから砂利の音がすることがあるんですけど」と切り出した。僧侶は、特に驚いた様子もなく「ああ、朝はそういう音がよく聞こえます」と答えた。
「何の音ですか?」と聞いたが、僧侶は「分からないです」とだけ言った。「分からないけど、よく聞こえる」というのが、僧侶の説明の全部だった。
Uさんは、それ以上は聞かなかった。
その後
Uさんは、現在も同じ参道を朝の散歩コースにしている。砂利の音は、その後も時々聞こえる。聞こえるたびに、振り返らずに歩く、というのが今のスタイル。
「気にしないで歩く」と決めてしまえば、12年住んでいる町の朝の風景の一部、として日常に組み込めるのが、地元の人の対応の仕方らしい。