先斗町の裏路地で、鈴の音がついてくる話

約3分
先斗町の裏路地で、鈴の音がついてくる話
目次
  1. 仕事帰りのいつものルート
  2. 1回目の鈴
  3. 2回目、Mさんの友人
  4. 3回目、店長から聞いた話
  5. その後
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Mさん(仮名・32歳女性・京都市内のバー勤務)から届いた話。深夜の先斗町の裏路地で、3回続けて鈴の音が後ろをついてきた経緯。

管理人としては、京都の繁華街は人が多くて怪談とは縁遠いイメージがあったが、先斗町の裏路地まで入ると話が変わるらしい、というのが今回の取材で印象的だった。

仕事帰りのいつものルート

Mさんが勤めるバーは、先斗町の通りから1本入った場所にある。閉店は午前1時。閉店後の片付けを終えると、午前2時前になる。

帰りはいつも同じルートを使っていた。バーを出て、先斗町の表通りには出ず、鴨川側に抜ける細い路地を通る。ここを使うと自宅マンションまで徒歩7分で着く。表通りを使うと10分以上かかる。

その路地は、観光客はまず入ってこない。地元の住人と、近隣の店の従業員くらいしか歩いていない。深夜2時に通ると、ほぼ無人になる。

1回目の鈴

最初に気づいたのは、去年の秋だった。

路地の半ばを歩いている時、後ろから鈴の音がした。お祭りの神輿につける鈴のような、丸い金属の音。歩くペースに合わせて、規則的に鳴っている。

振り返ると、誰もいなかった。

音は、振り返った瞬間に止まった。

気のせいだろう、と思って先に進んだ。歩き出すと、また鈴の音が始まった。

家までの残り3分の間、音はずっと後ろについてきた。マンションのエントランスに入った瞬間、止まった。

2回目、Mさんの友人

Mさんはこの話を、職場の同僚に話した。同僚の女性店員(30代後半)が、自分も同じ路地で似た音を聞いたことがある、と言った。

同僚は、Mさんと別の夜、別の時間帯(午前1時半頃)に通った時、やはり後ろから鈴の音が聞こえた。振り返ると音が止む、進むとまた鳴る、というMさんと同じパターンだった。

同僚は「振り返らずに早足で家まで行った」と話していた。Mさんはその時点で、その路地に何かがあるのだと察したという。

3回目、店長から聞いた話

3回目の体験は、それから3週間後。同じ路地、同じ時間帯。鈴の音も同じパターン。今度は振り返らずに歩き続けた。マンションのエントランスで止まった。

翌日、バーの店長(60代男性・地元出身)にこの話をした。店長は少し笑って「あの路地はな、昔から鈴の音が聞こえるんよ」と話した。

店長によれば、地元の年配の人の間では、その路地で鈴の音が後ろからついてくるという話は昔から知られているらしい。原因は分からない。神社の鈴ではないし、近くに鈴を鳴らす施設もない。

店長は「気にせんとき。ついてくるだけで、何もせん」と言ったという。

その後

Mさんは、それ以降、その路地を使うのをやめた。表通り経由に切り替えて、徒歩時間は10分に増えた。

同僚も同じ判断をした。バーの他の店員にも、その路地の話は共有されている。

「気にせんとき」と店長は言ったが、Mさんとしては、毎晩通る道で同じ音を聞き続けるのは、気にせずにいられる類のものではなかった。

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