父の遺品から出てきた手書きの地図、印が一つ多い話

約3分
父の遺品から出てきた手書きの地図、印が一つ多い話
目次
  1. 父の他界、書斎の引き出し
  2. ノートの中、手書きの地図
  3. 4つ目の印、知らない場所
  4. 叔父(父の弟)に確認
  5. 父が、なぜ家族に話さなかったか
  6. Zさんが祠跡を訪れた
  7. 地図は、Zさんの息子に渡した
  8. 数か月後、長男が話したこと
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Zさん(仮名・48歳男性・群馬県在住の会社員)から届いた話。亡くなった父の遺品の中から見つけた手書きの地図に、家族の墓所と、もう一つ、知らない印が描かれていた経緯。

父の他界、書斎の引き出し

Zさんの父は、78歳で他界。Zさんは長男として、父の書斎の遺品整理を担当した。
書斎の机の引き出しの一番奥から、古いノートが出てきた。父の手書き。表紙に『地図』とだけ書かれていた。

ノートの中、手書きの地図

ノートを開くと、父の手書きの地図が3ページにわたって描かれていた。
地図は、群馬県内のある山中の地域。父の母(既に他界)の生家があった集落の周辺だった。
「印が4つ。3つは、家族の墓所、母方の祖父母の墓、父方の祖父母の墓。最後の1つは、見覚えのない場所」

4つ目の印、知らない場所

4つ目の印は、山道から外れた、林の中の小さな広場のような場所。地図には『祠跡』と書かれていた。
「私は、その祠のことを聞いたことがありませんでした。父が一度も話さなかった場所」

叔父(父の弟)に確認

Zさんは、叔父(父の弟)に地図を見せて聞いた。
叔父は、しばらく地図を眺めた後、こう答えた。「これは、祖母の生家の祠跡だ。祖母が生まれた集落で、祖母の家系が代々守っていた小さな祠。集落が無くなった時に、祠も廃絶した」
叔父は、父が生前にその場所を一人で訪れていたことを、薄々知っていた、と話した。

父が、なぜ家族に話さなかったか

叔父の説明:『兄貴(父)は、祖母の家系のことを、家族にも誰にも話さなかった。理由は、祖母自身が、生前、家系の話を口にしたがらなかったから。兄貴はそれを守って、子孫に余計な情報を伝えなかったんだと思う』
Zさんの父も、祖母も、祠跡について語らないまま、生涯を終えた。

Zさんが祠跡を訪れた

Zさんは、地図を頼りに、その祠跡を訪れた。林の中の小さな広場、土台らしい石が数個、苔むしている。祠そのものは、もう何も残っていなかった。
「ただの石の跡、というだけの場所でした。何もない、ということに、安心したような、寂しいような気持ちでした」

地図は、Zさんの息子に渡した

Zさんは、父の地図を、自分の長男(高校生)に渡した。
「『これは、おじいちゃんが、自分の家のルーツを大切にしていた証拠です。話したくなかった理由までは、お父さんにも分かりません。ただ、地図だけは残しておきます』と伝えました」
長男は、地図を受け取り、自分の机の引き出しに納めた。

数か月後、長男が話したこと

数か月後、長男がZさんにこう話した。
「お父さん、おじいちゃんの地図を見てから、変な夢を見るようになった。林の中の広場で、誰かが立っている夢。話しかけてくる訳じゃない、ただ、立っている」
Zさんは、長男に、その夢のことを誰かに話す必要はない、と伝えた。「ただ、地図は持っていろ。それだけでいい」と。

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