中学の頃、地元で流行ってた噂の話

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中学の頃、地元で流行ってた噂の話
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Rさん(仮名・35歳男性・関西の卸売会社で営業職)から

これは関西の地元の話で、俺が中学の頃に幼馴染のグループで流行ってた噂なんですけど。

俺は関西の郊外の住宅地で生まれて、高校までずっと地元にいた。

いまは大阪市内のマンションで1人暮らし。仕事はIT系の会社でサーバの運用やってます。

実家の方の中学は1学年3クラスくらいの小さい学校。小学校から持ち上がりでメンバーがほぼ変わらなかったので、幼馴染と呼べる関係が中学のあいだも続いてたんです。

うちらのグループは男ばかり5、6人。放課後はだいたい誰かの家か、町外れの公園にたむろしてた。

その噂が回り始めたのは、たしか中2の夏ごろ。

誰が最初に言い出したのかは、もう誰も覚えてない。

ある特定の番号に夜中の決まった時間に電話をかけると、ヤバいことが起きるらしい、という話。

番号は11桁の携帯の番号。最初の3桁は普通のキャリアと同じだったので、誰かが実際に使ってる番号なのかもしれない、と俺は思ってたんです。

かける時間は夜中の2時から3時のあいだ、と言われてた。

出るかどうかは半々くらい。出ても何も言わずに切られることもあれば、低い声で何か呟かれることもあったらしいです。

聞こえたという奴が言うには、人の声というより、うめき声に近い感じだったそうです。それを聞いた人間は、数日のうちに体調を崩す、と。

うちらのグループでは、最初にかけたのはタクヤという奴。

家は町外れの古い団地で、親父さんが夜勤で家にいないことが多かった。夜中にこっそり試すのに都合がよかったんだと思います。

次の日学校に来たタクヤは、寝不足みたいな顔で、出たけど何も聞こえへんかった、と言ってました。

ただ、その週末から熱が下がらなくなって、月曜から1週間休んだらしい。

復帰したときには、その話はもうしないでくれ、と一言だけ言って、それ以降タクヤはその番号の話には乗らない。

タクヤが休んでるあいだに、別の同級生が2人、それぞれ別の日に試したらしい。

1人は繋がらなかったそうです。もう1人は、出たけどすぐ切れた、と言ってました。

すぐ切れた方は、翌週、部活の練習中に倒れて病院に運ばれたと聞きました。

脱水とか過労みたいな診断だったらしい。本人は、あの番号にかけてからおかしい、とずっと言ってたそうです。

それからしばらく、うちらのグループの中ではその番号の話はタブーみたいになってた。

出所も結局、誰も分かってないまま。

1個上の先輩から聞いた、という奴もいれば、隣の中学の知り合いから聞いた、と言う奴もいて、どっちが本当かは確かめようがなかった。

中3になった頃に、もう1人、ハジメという同じクラスの奴が試したと聞きました。

ハジメはうちらのグループのメインではなかったんですけど、たまに一緒に遊ぶ距離感の同級生。

誰かに半分けしかけられて、自分でかけてみると言ったらしいです。

そのあと、ハジメは学校に来なくなった。

最初は風邪と聞いてたんですけど、2週間経っても来なくて、結局そのまま転校したと先生から発表された。

家族の事情、とだけ言われて、それ以上は何も説明されてない。

引っ越し先は誰も知らない。番号を試したのが本当なのかも、本人に確認したわけじゃないので、半分は噂です。

ただ、ハジメの一件以来、その番号の話を口に出すこと自体がやめになったんです。

俺自身は、その番号に電話したことはない。

怖かったから、というより、タクヤとハジメの件があってから、確かめにいく理由がなくなった、という感じ。

高校に上がってからは噂自体を聞くこともなくなって、地元を出てそのまま長いこと忘れてたんです。

去年の夏、地元で同窓会があった。

集まったのは中学のときの同じクラスの8人くらいで、タクヤも来ていた。

酒が入って、誰かがふざけて、あの番号の話を覚えてるか、と言ったんです。

タクヤは少しだけ笑って、いまでもその番号は覚えてる、と言ってました。ただ、もう1回かけてみる気にはならない、とも言っていた。

その場で、別の2人が、自分も中学のときに1回だけ試したことがある、と話し始めたんです。

1人は出なかったそうだ。もう1人は、出たかどうかも覚えてない、と言ってました。

覚えてないんですけど、その時期に部活で大怪我したのは確かで、いまも左膝に金属が入ってます、と話してました。番号と関係があるのかどうかは、もちろん分からない。

ハジメの転校先を知ってる奴は、その場には誰もいなかった。

番号の出所も、相変わらずどこにたどり着くのかは分からないまま。

1個上の先輩、隣の中学、塾の知り合い、ネットの掲示板、いろんな経路の名前が出ましたけど、どれも『誰それから聞いた』の連鎖で、最初にかけた人間の名前は誰の口からも出てこなかった。

同窓会の帰り、タクヤと駅まで一緒に歩いた。

タクヤは、いまでも夜中に携帯が鳴ると、一瞬あの番号かと思う、と言ってたんです。

体がそう反応するのは止められないらしい。俺は何も言わずに、駅で別れたと思います。

あの番号は、いまも俺の中で、かけようとは思わない。

ただ、地元のあのグループの中では、何人もが似たような輪郭の話を持っていて、その出所が誰にもたどれない、ということだけが、いまも残ってます。

こっちにも、もうひとつ

母校の体育館にあった噂の話

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