県境のトンネル、行きと帰りで通過時間が違う話

約3分
県境のトンネル、行きと帰りで通過時間が違う話
目次
  1. 月に何度か通る運行ルート
  2. 行きは1分台、帰りは3分以上
  3. 他のドライバーに聞いた
  4. 夜間の体験
  5. 同業者の説明
  6. 追加で聞いた話
共有: X LINE

Sさん(仮名・43歳男性・関西地方の物流会社員)から届いた話。仕事で月に何度か通る県境のトンネルで、行きと帰りの通過時間が体感で2倍違うと感じ続けてきた経緯。

月に何度か通る運行ルート

Sさんは物流会社に勤続15年、長距離トラックの運転手。毎月、近畿地方の特定の県境ルートを4〜5回往復している。
そのルートには片側1車線のトンネルが1本あり、全長は約1.2キロ。制限速度は60キロで、通常なら1分20秒前後で通過する計算になる。

行きは1分台、帰りは3分以上

Sさんが気付いたのは、運行記録のデジタコ(運行記録計)のデータを後から見直した時。
行きの通過時間は、ほぼ毎回1分20秒〜1分40秒。帰りは2分30秒〜3分20秒。同じ速度で走っているはずなのに、毎回約2倍の差が出ている。

「最初は、帰りに渋滞があるからかな、と思っていました。でも、デジタコの速度ログを見ると、帰りも50〜55キロで走っているんです。速度が落ちているわけではない」

他のドライバーに聞いた

Sさんは、会社の同僚や、業界の知り合いに、何気なく聞いてみた。
同じルートを使っている同業者の中で、5人中4人が「あのトンネル、確かに帰りは長く感じる」と答えた。

「気のせいでしょう、で済ませる人もいましたが、デジタコのデータを見せると、半分は『俺のも見てみる』と言って後日報告してくれました。みんな帰りは1.8倍〜2.2倍長い」

夜間の体験

Sさんが特に印象に残っているのは、夜間運行の時の話。
「深夜に通った時、行きは1分20秒で抜けたんですが、帰りは3分40秒かかりました。途中で速度を上げてみたんですが、出口がなかなか見えてこなくて、不安になりました」

その夜、トンネルを抜けたあと、Sさんは一度路肩に車を停めて、休憩を取った。
「疲れていたわけではなくて、なんとなく、もう一度同じトンネルに戻る気にならなかったんです」

同業者の説明

業界の先輩ドライバー(60代)に聞いたところ、こんな返答が返ってきた。
「あのトンネルはな、業界では『行きと帰りで違う』って昔から言われてる。原因は誰も知らないけど、夜の帰りはなるべく避ける、っていう運転手は何人もいる」

先輩によると、ルートの組み方として「行きはあのトンネル、帰りは別ルート」を選ぶ運転手が、業界の中に一定数いるそうだ。Sさんも、最近は帰りだけ別ルートを使っている。

追加で聞いた話

取材のあと、Sさんが同業者数人にあらためて時間を取って話を聞いてくれた。
「同じトンネルを使う運転手7人に聞いた結果、6人が『帰りは長い』と答えました。1人だけは『気にしたことがない』と答えましたが、その方は日中しか通らないそうです」

夜間に通る5人の中で3人は『深夜の帰りは特に長く感じる』と話し、2人は『時間帯で大きな差は感じない』と答えた。
「『夜の帰り』で差が大きい、という傾向は読み取れます。ただ、サンプル数が小さいので、統計的にどうかは言えません」

また、Sさんが地元の運転手の集まりで聞いた話によると、そのトンネルは1970年代後半に開通したもので、開通当初から『行きと帰りで違う』という噂はあったらしい。
「『開通から半世紀近く、同じ話が業界の中で続いている、というのが、いちばん不思議です』と先輩は話していました」

こっちにも、もうひとつ

学校の七不思議、3つだけ本当だったという話

次の話を読む →