神奈川・鷹取山、採石場跡の岩壁で三度鳴った石の音

約4分
神奈川・鷹取山、採石場跡の岩壁で三度鳴った石の音
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Iさん(仮名・34歳男性・神奈川県内で勤務する会社員)からメールで届いた話。メールで5往復ほど追加取材させてもらった。仮名を条件に承諾をいただいている。場所は本人の希望で実名のまま掲載している。

鷹取山です。心霊スポットとして名前が挙がる場所なんで、その手の話を期待されると外れます。

先に説明します。鷹取山は横須賀と逗子の境にある低い山で、昔は石を切り出す採石場でした。今もその跡が残っていて、垂直の岩壁がそのまま立ってます。壁にはクライミングの練習をする人がいて、途中には岩に彫られた大きな仏さまもある。展望台まで道が整備されてて、普通にハイキングで登れる山です。

僕は写真が趣味で行きます。

年に何回か。三脚を担いで登って、夕方の光を狙います。あの岩壁は光が当たると面白い形に見えるんで。

去年の十一月、一人で行きました。

平日の夕方です。仕事が休みで、天気がよかったんで思い立ちました。登り始めたのが十六時前くらい。

この時期は暗くなるのが早いです。

展望台で少し撮って、それから岩壁のほうへ回りました。十七時を過ぎてたと思います。人はもういませんでした。

壁の下で三脚を立てました。

下から見上げる構図です。壁は高さが十数メートルあって、真上を向くと空が細く見える。そういう写真を撮りたかったんです。

最初の音は、準備してる最中でした。

三脚の高さを合わせてるときです。かつん、と乾いた音がしました。石が石に当たる音だと思います。

上から落ちてきた音でした。

音の高さが移動するというか、上のほうで鳴って、下で止まった感じでした。

珍しいことじゃないです。

あの山は凝灰岩で、脆いんです。触ると崩れるところもあります。風が吹いたり、鳥がとまったりしただけで小さいのが落ちることはあると思います。

二度目は、その五分後くらいでした。

同じ音です。同じくらいの高さから、同じくらいの大きさで。

そこで少し離れました。

落石は危ないんで。壁から三、四メートル下がって、そこから撮ることにしました。

三度目は、それからすぐでした。

また同じ音です。間隔は短くなってました。

上を見ました。

壁の上は平らになってて、そこも歩けます。柵はあります。ただ、この時間に人がいることはあまりない。

誰もいませんでした。

空はまだ明るくて、縁のところはシルエットで見えます。人が立っていれば分かったと思います。

落ちた石を探しました。

スマホのライトをつけて、壁の下を見ました。落ち葉が積もってて、その上に新しく落ちたものがあれば分かるはずでした。

ありませんでした。

二十分くらい探してます。小石の一つも新しく落ちた形跡がなかった。落ち葉も乱れてませんでした。

音のわりに、何も無いんです。

三回とも、はっきり聞こえてます。空耳という感じではなかったです。

風だと思います。

あの日は風がありました。壁の上には木も生えてます。枝が擦れたり、実が落ちたりして、それが岩に当たれば似た音は出ると思うんです。

ただ、探しても何も無かったのは、分かりません。

そこで撤収しました。

暗くなりかけてたのと、落石が続くなら危ないんで。急いで下りました。

下る途中で、仏さまの前を通りました。

岩に彫られた大きなものです。何度も見てますし、そのときも特に何もありません。手を合わせたりもしてないです。

その後も何回か行ってます。

昼なら普通に登ります。壁の下でも撮ります。音は聞いてません。

ただ、暗くなる前に下りるようにしてます。

写真としては、夕方のほうがいいんですけど。

こっちにも、もうひとつ

祖母が撮った家族写真、どれも右端が同じだけ空いている

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