閉園した遊園地に忍び込んだら、止まっているはずのメリーゴーランドの木馬が一頭だけ動いていた話

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閉園した遊園地に忍び込んだら、止まっているはずのメリーゴーランドの木馬が一頭だけ動いていた話
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Kさん(仮名・34歳男性・会社員)から、知人を介して聞いた話。若いころの、肝試しの体験だという。

昔、地方に、潰れた遊園地がありました。

閉園してから何年も、そのままになっていた場所です。

20歳くらいのとき、自分は、友達3人と、夜に忍び込みました。

フェンスの、破れたところから、中へ。

観覧車が、止まったまま、夜空に、黒く立っていました。

足元には、割れた看板や、錆びた手すり。草が、ぼうぼうに伸びている。

昼に来れば、ただの廃墟。でも、夜は、空気が違いました。

正直、わくわくしていました。肝試しというより、探検のつもりで。

園内を、奥のほうへ、歩いていきます。

メリーゴーランドが、ありました。

屋根は、半分落ちて。木馬は、塗装が剥げて、何頭も、傾いている。

もちろん、動いていません。電気なんて、とっくに止まっている。

モーターも、とっくに錆びついているはずでした。

通り過ぎようとした、そのときです。

一頭だけ、動いていました。

いちばん奥の、白い木馬。ゆっくり、上がって、下がって。

ほかの木馬は、ぴくりともしないのに。

自分たちは、足を止めて、それを、見ていました。

いたずらで、誰かが動かしているのか。そう思いたかった。でも、人の気配は、どこにもない。

そのうち、どこからか、音が聞こえてきたんです。

オルゴールみたいな、細い、音楽。

メリーゴーランドの、あの曲でした。ゆっくり、ずれた音程で。

誰も、いません。スイッチを入れる人なんて、いるはずがない。

友達のひとりが、帰ろう、と言いました。

誰も、反対しません。来た道を、早足で、戻りました。

フェンスをくぐって、外に出るまで、音楽は、ずっと、追いかけてきました。

車に乗って、ようやく、聞こえなくなった。

誰も、口をききません。エンジンの音だけが、やけに大きかった。

あの遊園地は、もう、更地になったそうです。

あの白い木馬が、今、どこで、誰を乗せているのかは、分かりません。

こっちにも、もうひとつ

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