取り壊し前の病院で夜間警備。空室305号室のナースコールが毎晩点いた話

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取り壊し前の病院で夜間警備。空室305号室のナースコールが毎晩点いた話
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Kさん(仮名・38歳男性・会社員)から、知人を介して聞いた話。学生のころにやっていた、夜間警備のアルバイトでの体験だという。

取り壊しが決まった、古い病院がありました。

自分のバイトは、その建物の、夜のあいだの見回りでした。

何かあった病院だ、とは聞いていました。詳しくは、教えてもらえなかった。

電気は、もう、ほとんど止まっていました。非常灯だけが、廊下に、ぽつぽつ点いている。

懐中電灯を持って、1時間にいっぺん、各階を見て回る。それが、仕事でした。

時給は、ふつうより少しだけ高い。その理由を、深くは考えなかった。

最初の数日は、何もありませんでした。ただ、暗くて、広くて、静かなだけ。

気づいたのは、3階の、ナースステーションの前を通ったときです。

壁の、ナースコールのランプが、ひとつだけ、点いていました。

赤い、小さなランプ。305号室、と書いてある。

電気は、止まっているはずでした。なのに、そのランプだけ、点いている。

先輩の警備員に言うと、ああ、それな、と。気にするな、よくあるから、とだけ言われました。

気にするな、と言われても、気になります。

仕事だから、見回らないわけにはいかない。気が重かった。

その夜の見回りで、305号室を、開けてみました。

空っぽの部屋でした。ベッドの枠だけがあって、マットレスも、何もない。

誰も、いない。当たり前です。

部屋を出て、ナースステーションを見たら、ランプは、消えていました。

やっぱり、気のせいか。そう思いました。

次の夜も、同じでした。305号室のランプが、点く。

その次の夜も。

見回りのたびに、点いている。開けると、空っぽ。出ると、消える。

バイトの、最後の夜でした。

いつものように、305号室のランプが、点いていました。

もう関わらないほうがいい。頭では、そう思った。それでも、手は、ドアにかかっていた。

なんとなく、最後だから、と思って、もう一度、開けてみたんです。

ベッドに、誰か、寝ていました。

布団が、こんもりと盛り上がって。

いや、と思って、よく見たら、ベッドは、やっぱり空でした。枠だけ。

でも、自分が開けた、その一瞬だけ、確かに、誰かが寝ていた。

盛り上がった布団の、頭のあたりが、こっちを向く前に、自分は、ドアを閉めました。

それきり、自分は、そのバイトをやめました。最後の日だったので、ちょうど、よかった。

あの病院は、もう、取り壊されて、ありません。305号室のランプが、今、どこで点いているのかは、分かりません。

こっちにも、もうひとつ

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