登山アプリのログに、歩いていない三十分が残っていた

約3分
登山アプリのログに、歩いていない三十分が残っていた
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Rさん(仮名・27歳女性・関東在住の会社員)からサイトの問い合わせフォームで届いた話。メールで4往復ほど追加取材させてもらった。仮名と山名を伏せる条件で承諾をいただいている。

去年の秋の話です。

登山は三年くらいやってます。月に一度、日帰りで低山に行く程度。本格的なものではありません。

記録アプリを使ってます。

歩いた軌跡が地図に残るものです。距離とか時間とか標高も出ます。あとで見返すのが好きで、山に入るときは必ず起動してました。

その日は友達と二人でした。

標高千メートルくらいの山です。登山口から三時間ほどで、道もよく整備されてます。二人とも同じアプリを入れてました。

尾根に出たところで休憩しました。

ベンチがある場所です。景色が開けてて、みんなそこで休みます。私たちも座って、おにぎりを食べました。

三十分くらいいたと思います。

のんびりしてました。写真も撮ったので、時刻は残ってます。十一時二十分から、十一時五十分くらいまでです。

そのあと山頂まで行って、下りました。

特に何もありません。天気もよくて、他の登山者ともすれ違ってます。普通の一日でした。

家に帰って、アプリを開きました。

その日の記録を見返すのが習慣なんです。距離は十キロ弱で、想定どおりでした。

軌跡に、変なところがありました。

休憩した場所のあたりで、線が尾根から外れてるんです。谷のほうへ下りて、少し進んで、また戻ってきてる。

そんな道はありません。

尾根から谷側は斜面です。登山道は通ってません。踏み跡もなかったと思います。私たちはベンチから動いてませんでした。

時間を見ました。

その区間が、十一時二十分から十一時五十分までになってました。休憩していた三十分と、ぴったり重なります。

距離も出てました。

往復で四百メートルくらいです。標高差は五十メートルほど下って、また上がってる。

誤差だと思うんです。

山の中はGPSが乱れることがあります。斜面や木で電波が反射して、実際と違う場所を拾うことがあるとか。私も詳しくはないですけど、山でログが飛ぶ話は聞いたことがあります。

ただ、飛び方が気になりました。

誤差なら、点があちこちに散ったり、直線でワープしたりすることが多いです。私が見たのは、下りて、進んで、戻ってくる線でした。歩いた形をしてたんです。

速度も出てました。

アプリはその区間の速度も計算してくれます。時速一キロちょっとでした。斜面を下りる速さとして、おかしくない数字です。

友達に連絡しました。

そっちの記録はどうなってるか聞きました。同じアプリで、同じ場所にいたので。

友達の記録には、ありませんでした。

休憩の三十分は、ベンチの位置に点が固まっていました。谷側へは一ミリも出てません。

それで、私の機種の問題かなと思いました。

その可能性が一番高いと思います。友達とは機種が違いますし、アプリの設定も同じかどうか分かりません。

スクリーンショットは残してます。

消すのも変な気がして、そのままにしてあります。人に見せたのは友達だけです。

その山には、また行きました。

春に一人で行ってます。同じ道を歩いて、同じ時間くらいに通りました。

そのときは何も起きてません。

ログもきれいでした。ただ、あのベンチでは座らずに、少し先まで歩いてから休みました。

理由は、うまく言えないです。

こっちにも、もうひとつ

庭の一角だけ、毎年同じ日に霜が降りる

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