古い家族写真の中に、知らない女性が映っていた話

約3分
古い家族写真の中に、知らない女性が映っていた話
目次
  1. 祖母の遺品整理、押入れの奥のアルバム
  2. 家族集合写真、1958年
  3. 12人中、1人だけ知らない女性
  4. 父・伯母に確認
  5. 近所のお年寄りに確認
  6. 1958年の文脈
  7. 写真は供養に出した
  8. 寺の住職からの後日連絡
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Pさん(仮名・39歳女性・福井県の地方公務員)から届いた話。亡くなった祖母の遺品整理で見つけた古い家族写真の中に、家族の誰も覚えていない女性が映っていた経緯。

祖母の遺品整理、押入れの奥のアルバム

Pさんの祖母は92歳で他界。Pさんは遺品整理のため、祖母の家を1か月かけて片付けた。
押入れの奥から、革張りのアルバムが出てきた。古い、白黒写真が並ぶ、戦前から戦後のもの。

家族集合写真、1958年

アルバムの中ほどに、家族の集合写真が1枚。日付は写真の裏に1958年と書かれていた。
写真には、祖父、祖母、その兄弟姉妹、祖母の両親、合計12人。皆、当時の正装で並んでいる。

12人中、1人だけ知らない女性

Pさんが写真を眺めていて気付いた。12人の中に、家族の誰も該当しない女性が1人いた。
30代前半の女性、家族の女性たちと同じ和装、後列の右端。Pさんが知っている祖母の親戚の顔と、一致しない。

父・伯母に確認

Pさんは、父と伯母(祖母の長女)に写真を見せた。
父も伯母も、しばらく見つめた後、首を傾げた。「この人、誰だろう」「私たちの世代より上の人だから、覚えていない」
祖母が生きていれば聞けたが、もう確認の手段がない。

近所のお年寄りに確認

Pさんは、祖母と同世代の近所のお年寄り(90代女性)を訪ねた。写真を見せて聞いた。
「ああ、お祖母さんね。この女の方は……分からないね。集落の人じゃないと思う。よその村から、誰かのお嫁さん候補で見に来ていた人かもしれないけど、覚えてないわ」
近所のお年寄りでも、特定できなかった。

1958年の文脈

Pさんが調べた限り、1958年は祖母の弟(当時23歳)が結婚した年。集落の文化として、結婚式の前に、両家の親族が見合いの場を持つことがあった。
「もしかしたら、その時の、別の集落から来た女性の親戚かもしれません。ただ、集合写真に入っている、というのは、それなりの関係性があったはずです」

写真は供養に出した

Pさんは、その写真を、写真の供養を扱う寺に預けた。家族として知らない人物が映っている、というのは、写真をそのまま残すには気が引けた、と。
「女性が誰だったか、最終的には分かりませんでした。ただ、祖母が生きている間、この写真を押入れの奥に長く仕舞っていた理由は、少し分かる気がしました」

寺の住職からの後日連絡

写真供養を依頼してから2か月ほど経って、寺の住職からPさんに連絡が来た。
「『供養前にしばらく預かって、写真をいくつか調べさせていただきました。お祖母さん側の親戚の中には、確かに当てはまる方は見当たりません』と言われました」

住職は、女性の和服の柄に注目していた。当時の福井近郊では、織りの柄が集落ごとにある程度分かれており、集合写真の他の女性たちとは違う系統の柄だった、と。
「『他の方は、地元の織元の柄でした。問題の女性だけ、近隣の別の地域、もしくはもっと遠方の柄に見えます』と。家紋までは判別できなかった、とのことです」

住職の見立てとしては、見合い相手か、その付き添いか、別の地域からの一時的な来客だった可能性が高いが、なぜ家族の集合写真の後列にいるかは説明がつかない、と。
「『お祖母さまだけがご存じだった事情があったかもしれません』と住職は言って、写真を供養に回してくださいました」

こっちにも、もうひとつ

祖母の葬儀のあと、香典袋を整理していた母が黙り込んだ理由の話

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