祖父の遺品整理で出てきた古い手帳に、自分の名前が書かれていた話

約3分
祖父の遺品整理で出てきた古い手帳に、自分の名前が書かれていた話
目次
  1. 祖父の遺品整理
  2. Sさんが見つけた手帳
  3. 両親への確認
  4. 親族で同名の人がいないか
  5. その後
共有: X LINE

Sさん(仮名・27歳男性・大学院生)から届いた話。3ヶ月前に亡くなった祖父の遺品整理で、自分の生まれる十年以上前の年代の手帳に、自分のフルネームが書かれていた経緯。

管理人としては、家族の遺品から出てくる類の話は、本人の事情を含むケースが多く、今回もSさんと十分にやり取りした上で掲載させていただいた。

祖父の遺品整理

Sさんの祖父は、3ヶ月前に89歳で亡くなった。元々は関東某県の戸建に1人で住んでいて、晩年の数年は施設に入っていた。亡くなった後、両親と叔父叔母で遺品整理に入った。Sさんも院の研究の合間に手伝いに行った。

祖父は几帳面な人で、書類や手帳をきちんと残していた。古い手帳が、押入れの奥の段ボール箱から大量に出てきた。年代別に箱に詰められていて、一番古いものは1960年代のものだった。

Sさんが見つけた手帳

Sさんが手伝っていた箱の中に、1990年代前半の手帳が数冊あった。その中の1冊、1991年(平成3年)の手帳を、Sさんが何気なく開いた。

祖父の予定が日付ごとに書かれていた。仕事の予定、家族のイベント、買い物のメモ。普通の手帳の使い方。

巻末の住所録ページに、何人かの名前と連絡先が書かれていた。その中に、Sさんのフルネームと、Sさんの生年月日が、祖父の筆跡で記載されていた。

Sさんが生まれたのは、その手帳の年から十年以上後。

両親への確認

Sさんは両親にこの手帳を見せた。両親は、しばらく言葉が出なかった。

母は「お祖父ちゃん、何でこれを書いてたんだろうね」とだけ言った。Sさんの父(祖父の長男)も「分からない」と答えた。

父からの追加の情報として、Sさんが生まれた時、祖父は「ようやく来たか」と言った、というエピソードを聞かされた。当時、家族はその一言を「孫の誕生を喜ぶ言葉」として受け取っていた。手帳の話と関連付ける材料は、当時は無かった。

親族で同名の人がいないか

Sさんのフルネームは、親族の中で被っている人はいない。父方も母方も、Sさんの名前と同じ人物の前例は確認できなかった。叔父叔母にも聞いたが、「初めて聞いた名前だった」と答えた。

名前自体は、よくある日本人の名前。ただ、姓と名の組み合わせとしてのフルネームは、家族の中で唯一だった。生年月日の記載も、Sさん本人の生年月日と完全に一致している。

祖父の手帳の他のページには、未来の予定として何かを書く癖は無かった。1991年の他のページは、その年の現実の予定で埋まっている。

その後

Sさんは、その手帳を実家で保管している。捨てる気にもなれず、研究室に持ってくる気にもなれない、というのが現状の判断。

祖父が亡くなっているので、本人に確認する手段は無い。母方の祖母(80代・存命)にも聞いてみたが「お祖父ちゃんとは、お孫さんの話はしたことなかったわよ」とだけ答えた。

Sさんは「分からないものは、分からないままにしておく」というスタンスで、現在は研究に戻っている。手帳は実家の引き出しの中。

こっちにも、もうひとつ

母が幼少期に禁じた公園、地図にも住宅地図にも記録がない話

次の話を読む →