母が幼少期に禁じた公園、地図にも住宅地図にも記録がない話
Kさん(仮名・35歳男性・地方公務員)から届いた話。子供の頃に母から繰り返し禁じられた『あの角の公園』を、大人になって調べたところ、現在も過去も公園の記録が見つからない経緯。
管理人としては、家族の口頭の記憶と公的な記録が食い違う類の話は、判断材料が極端に少なくなるので、Kさんの調査範囲をそのまま記録する形にした。
母の言葉
Kさんが幼稚園から小学校低学年の頃、家から徒歩5分のところに住んでいた。母から「あの角の公園には行ってはいけない」と何度も言われた記憶が、はっきり残っている。
「あの角」というのは、Kさんの家から駅に向かう道を進んで、3つ目の交差点を右に曲がった場所。母はその交差点を指差して、「ここの公園には絶対に行かない」と幼いKさんに言い聞かせた。
Kさんは、母の言いつけを守って、その公園には行かなかった。友達に誘われた時も、「行ったら怒られる」と断った。
大人になって帰省
Kさんが大学進学で実家を離れて、就職して、結婚して、地元の地方都市に戻ってきたのは10年後。実家には両親が住み続けていた。Kさんは別の地区にマンションを買った。
子供の頃に住んでいた地区を、Kさんが訪れる機会はあまりなかった。3年前、ふと思い立って、車で通ってみた。
3つ目の交差点を右に曲がった場所に、公園は無かった。普通の住宅が建っていた。築年数は古く、20年以上前から建っているように見えた。
母に確認
実家に戻った時、母にこの話をした。「子供の頃、あの角の公園に行くなって何度も言われたよね。あの場所、今は公園じゃないんだけど」
母は、少し考えてから「公園なんてあったかしら?」と答えた。「あの角に?」と聞き返した。
Kさんは具体的な場所を説明したが、母は思い出せない様子だった。「私、そんなこと言った?」と逆に聞いてきた。
母の認知には特に問題は無い。今も普通に仕事を続けている(パート勤務)。Kさんの子供の頃の他のエピソード(学校の話、習い事の話)はちゃんと覚えている。
記録を調べた
Kさんは公務員として勤めている関係で、市の古い住宅地図を業務外で確認できる立場にあった。子供の頃の年代の住宅地図、そのさらに10年前の住宅地図、さらに古いものまで遡って見たが、その角に公園が記載されている地図は1冊も無かった。
同じ年代の航空写真も確認した。やはり公園は写っていない。Kさんが子供の頃にも、その場所には民家が建っていたことになる。
Googleマップでも、過去のストリートビューでも、公園は確認できない。
父に聞いた
父にも聞いてみた。父は「お母さんがそんなこと言ってたかな。覚えてないな」と答えた。「あの角に公園があったかどうか」については、父も「無かったと思うよ」と言った。
Kさんは、自分の記憶が間違っていた可能性も検討した。ただ、母から「行ってはいけない」と言われた記憶、友達に「行ったら怒られる」と断った記憶は、両方ともはっきり残っている。具体的な角の位置も、Kさんの中で固定されている。
その後
Kさんは、現在もその角の前を時々通る。古い民家がそのまま建っている。家の住人は別件で挨拶程度の知り合いになった。住人によれば「自分が生まれた時から、ここには家しかない」とのこと。住人の年齢はKさんの母より少し上。
母も、Kさん自身も、なぜ「公園に行くな」という記憶を共有していないのか、どちらの記憶が正しいのか、判断できていない。Kさんは「これ以上掘らない」と決めて、現在は調べるのをやめている。