娘の絵に毎回出てくる、家族にいない女性の話
Iさん(仮名・32歳女性・主婦)から届いた話。3歳の娘が描く家族の絵に、両家のどこにもいない女性が毎回描き込まれている経緯。
管理人としては、子供の絵に関する話は怪談の中でも判断が難しい類で、今回もIさん自身が結論を出していない、現在進行形の話として記録した。
娘の絵
娘は絵が好きで、家にいる時間の多くを描いて過ごす。題材は家族が多い。私と夫、娘の3人を、画用紙の真ん中に並べて描く。
3歳になった頃から、4人目が描かれるようになった。白い服を着た年配の女性。髪は灰色で、両手は下げて立っている。表情は描かれていない。
最初は、保育園で見かけた誰かを描いているのかと思った。娘に「これ誰?」と聞くと、娘は「キッチンのおばあさん」と答えた。
該当者の確認
私の母も、夫の母も、まだ50代で、娘に「おばあさん」と呼ばれる年齢ではない。両家とも、白い服を着る習慣もない。亡くなった祖母も、写真を見せたことがないし、娘の生まれる前に亡くなっている。
夫と話して、娘の見ている絵本やテレビ番組も確認した。該当しそうな登場人物はいない。
娘は同じ女性を、それから半年間で20枚以上描いた。位置は毎回同じ。家族3人の左側、少し離れた場所。
娘がキッチンを指す
ある日、娘が朝食中に「おばあさんが見てる」と言った。視線の先はキッチンの冷蔵庫の横。私が振り返ると、誰もいない。
娘に「どこにいる?」と聞くと、冷蔵庫を指差した。「冷蔵庫の前に立ってる」と。
夫がスマホで動画を撮った。冷蔵庫の前を10分ほど。何も映らなかった。娘はその間、画面を覗き込みながら「いるよ」と言い続けていた。
引っ越しの検討
夫婦で話して、物件を変えることを検討している。築12年の分譲マンションで、私たちは新築の最初の入居者。前住人による事故等の話は、不動産会社からは聞いていない。
娘自身は、その女性を怖がっていない。「冷蔵庫の前のおばあさん」として、家族の一員のような位置で扱っている。
引っ越しても、娘が同じ絵を描き続けるなら、原因はこの部屋ではないことになる。引っ越して描かなくなるなら、この部屋に何かあったことになる。どちらに転んでも、Iさんとしては答えが見える。それが現状の判断、と話していた。
追加で聞いた話
取材のあと、Iさんから2回目の連絡が届いた。
「同じマンションの上下階のママ友3人に、それとなく聞いてみました。誰も同じような話はしていない、と言っていました」
不動産会社にも、念のため、もう一度確認したそうだ。
「『新築入居時の確認事項として、過去の事故・事件は無い、と聞いている』と再度回答が来ました。マンション全体としても、特に変わった話は無い、と」
娘の絵は、今も同じ女性が描かれ続けている。半年で20枚以上だったのが、9か月で40枚を超えた、と聞いた。
「位置は今も家族3人の左側、少し離れた場所。冷蔵庫の前に立つ、というポーズは変わりません。娘が4歳になっても、絵の中の女性だけは年を取らないままです」