派遣先の同僚、毎週水曜だけ早退する話

約3分
派遣先の同僚、毎週水曜だけ早退する話
目次
  1. 常駐先のプロジェクト
  2. 毎週水曜だけ早退する
  3. 飲み会で出た話
  4. 翌週からの観察
  5. プロジェクトの離任
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Nさん(仮名・35歳男性・IT派遣エンジニア)から届いた話。常駐先で同じプロジェクトに入っていた女性社員Yさん(仮名・40代)の、毎週水曜の早退について、後から知った事実の話。

管理人としては、職場の話の中でも、特に派遣で常駐するエンジニアの方からの話は、独特の距離感で観察された記録になっていることが多い。Nさんの話もそういう構造だった。

常駐先のプロジェクト

Nさんが派遣で常駐していたのは、都内のシステム会社のあるプロジェクト。期間は約1年。チームは8人で、プロパー社員4人と派遣4人の混成だった。

Yさんはプロパー社員。プロジェクトのまとめ役の1人で、Nさんから見て、仕事ができる人だった。年齢は40代半ば、既婚、子供は無し、というのは飲み会の自己紹介で聞いた。

毎週水曜だけ早退する

常駐して2ヶ月くらい経った頃、Nさんはあることに気づいた。

Yさんは、毎週水曜日だけ、定時の17時前に必ず席を立つ。早ければ16時半、遅くとも16時45分。

他の曜日は普通に18時、19時まで残業する。月・火・木・金は残業、水曜だけは絶対に定時前に上がる。

Nさんは隣の席だったので、何度か理由を聞いた。Yさんは「夫の通院に付き添ってるんで」と答えた。毎週水曜が固定の通院日らしい。

聞いて納得した。プロジェクトのまとめ役として、Yさんの早退をチーム全員が当然のこととして受け入れていた。マネージャーも知っていた。

飲み会で出た話

常駐から半年経った頃、プロジェクトの飲み会があった。Yさんは早めに帰ったが、二次会まで残ったプロパー社員の1人(年配の男性、Yさんと同期入社らしい)と、Nさんは隣り合わせに座った。

話の流れで、Nさんは「Yさんの旦那さんの通院、毎週大変ですね」と何気なく言った。

同期の男性は、少し黙ってから、「Yの夫は、5年前に亡くなってるよ」と言った。

Nさんは、聞き返した。同期の男性は同じことをもう一度言った。「5年前。事故で。Yはまだ独身に戻してない」。

翌週からの観察

翌週の水曜日、Nさんは普段通りに仕事をしながら、Yさんを観察した。

16時半過ぎ、Yさんは席を立った。「お先します」とチームに声をかけて、エレベーターに向かった。

その日も、その翌週も、Yさんは水曜の早退を続けた。早退の時に「夫の通院」と言うこともあった。話の中に夫が普通に登場することもあった。「最近の通院では」「夫が言ってたんですけど」みたいな話を、Yさんは何の違和感もなく口にしていた。

同期の男性は、それ以上Nさんに何かを話すことはなかった。

プロジェクトの離任

常駐期間が終わって、Nさんはそのプロジェクトを離任した。Yさんとの直接のやり取りはそこで終わった。

離任前の最終日、Yさんから「お疲れ様でした、夫もお世話になりました」と挨拶された。Nさんは「こちらこそ」と返した。

その後、別の派遣先で仕事を続けている。Yさんが今も毎週水曜に早退しているかは、知らない。

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