マンションのエレベーターで毎朝同じ階の前で止まる話

約3分
マンションのエレベーターで毎朝同じ階の前で止まる話
目次
  1. 通勤時間、7時半のエレベーター
  2. 毎朝、4階で止まる
  3. 4階の住人と会ったことがない
  4. 管理人に相談
  5. ゴミ捨て前のルーティン
  6. 挨拶のきっかけ
  7. 以降、4階の扉が開いても気にならなくなった
  8. 追加で聞いた話
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Eさん(仮名・29歳女性・東京都のIT会社員)から届いた話。住んでいるマンションのエレベーターが、毎朝7時半に必ず4階で一度止まる経緯。

通勤時間、7時半のエレベーター

Eさんは東京都内の8階建てマンション、7階の角部屋に住んでいる。通勤のため毎朝7時半に部屋を出る。
マンションのエレベーターは2基、Eさんが乗る時はいつも空いていた。

毎朝、4階で止まる

ある日からEさんは、エレベーターが4階で必ず一度止まることに気付いた。扉は開く。でも、誰も乗ってこない。
「最初は、ボタンを間違って押した人がいて、ドアが開いた後に閉まる、と思っていました。でも、毎日続くので、変だなと」

4階の住人と会ったことがない

Eさんは7階に2年住んでいるが、4階の住人と一度も顔を合わせていない。マンション住民の顔を全員知っているわけではないが、毎朝4階で扉が開くなら、いずれ誰か出てくるはず、と思っていた。
「2週間以上、毎朝7時半に4階で扉が開いて、誰も乗ってこない状態が続きました」

管理人に相談

Eさんは、マンションの管理人に相談。
管理人は、しばらく考えて言った。「4階の405号室の方ですね。80代の男性です。元気な方ですよ」
「『元気だけど、エレベーターのボタンを毎朝押してから、家に戻る』癖があるとのことでした」

ゴミ捨て前のルーティン

管理人の説明では、その男性は毎朝7時半にゴミ捨てに行く準備として、まずエレベーターのボタンを押す。エレベーターが来ると、ゴミ袋を持って一旦家に戻り、戻ってきてからエレベーターに乗る、という独特の習慣があるそう。
「習慣の途中で、奥さんと電話していたり、忘れ物に気付いたりして、エレベーターに乗らないまま家に戻ることが、よくあるそうです」

挨拶のきっかけ

翌週、Eさんはあえて7時25分に部屋を出て、エレベーターホールで男性が出てくるのを待った。
男性は予定通り7時半過ぎに出てきた。ゴミ袋を持って、ニコニコしていた。Eさんは挨拶して、『毎朝4階でエレベーターが止まるので、何か御用かと思って』と聞いた。
男性は笑いながら、『ごめんなさいね、習慣でね』と答えた。

以降、4階の扉が開いても気にならなくなった

Eさんは、それ以降、エレベーターが4階で開いても、気にならなくなった。たまに男性と乗り合わせる時、軽く会釈を交わす関係になった。
「2週間怖がっていたものが、5分の会話で全部解消した。人怖の話、ほぼ全部このパターンな気がします」

追加で聞いた話

取材のあと、Eさんが男性ともう少し話す機会があった、と連絡が来た。
「ある朝、ゴミ捨ての帰り道で立ち話をしたんです。男性は『朝のルーティンは、認知症の予防に良いと医者に言われてる』と話してくれました」

奥さんを5年前に亡くしてから、生活の中に細かいルーティンを増やしているそうだ。エレベーターのボタンを押す、ゴミを取りに戻る、改めて出かける、というのも、その一環、と。
「『二度手間と言われるけど、その二度の中に、奥さんを思い出すタイミングがあるんですよ』と笑っていました」

Eさんが、その話を聞いてから、4階で扉が開く音の質感が変わった、と書いていた。
「最初は『何の音だろう』だったのが、今は『おじいちゃんが今、奥さんを思い出してるんだろうな』に変わりました。人怖カテゴリで投稿した話ですが、結果として、私の朝の時間に少し色がついた気がします」

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