縮刷版の三行、四件目で町名が二度目になった
Kさん(仮名・24歳男性・地方紙の資料室でアルバイト)から届いた続きの話。前回の掲載後、メールで4往復ほど追加取材させてもらった。仮名と社名を伏せる条件で承諾をいただいている。
前に話した件の続きです。
先に短くまとめます。資料室には縮刷版とマイクロフィルムがあって、同じ紙面のはずなんです。ただ、縮刷版にあってフィルムに無い三行の記事が見つかりました。山の中で人が見つかった、という趣旨の、見出しのない記事です。
二件見つかったところまでが前回でした。
あれから、範囲を広げて見ています。
二件とも同じ月だったので、その月に絞りました。年は遡れるだけ遡っています。縮刷版は書架にあるので、月ごとに引っ張り出せば済みます。
フィルムのほうが大変でした。
リーダーが一台しかないので、空いている時間にしか触れません。一日に見られるのは、多くて十日ぶんくらいでした。
十二年ぶん見ました。
三か月かかっています。仕事の合間なので、そんなものだと思います。
四件になりました。
前回の二件に、二件足されました。どちらも同じ形です。縮刷版の三面の右下、見出しなし、三行。フィルムには無い。
文面も同じでした。
山の中で人が見つかった、という趣旨です。名前も年齢も性別も書かれていません。助詞まで一致していました。
違うのは町名だけです。
四件の町名を並べました。三つしかありませんでした。四件目が、一件目と同じ町名だったんです。
年は離れています。
一件目から四件目まで、全部で十一年ぶんに散らばっています。同じ町名の二件は、その中で九年離れていました。
月は全部同じでした。
日は違います。曜日も違いました。そこに規則は見つかっていません。
上司にもう一度報告しました。
前と同じで、版違いだろう、という返事でした。ただ、四件あると聞いて、少し黙りました。それから、当時のことは分からない、と言われています。
私も版違いだと思います。
説明としては、それが一番あり得ます。早版と最終版で記事が差し替わることはあるそうなので。
ただ、確かめたくて、別のものを見に行きました。
市の図書館です。うちの紙のフィルムを、図書館も別に持っているんです。うちで撮ったものとは別系統で、保存用に作られたものだと聞きました。
四件ぶんの日付を出してもらいました。
閲覧の申請をして、リーダーの席で順に見ました。半日かかっています。
四件とも、三行はありませんでした。
図書館のフィルムにも入っていません。紙面の作りは、うちのフィルムと同じでした。繰り上がっている記事も同じです。
そこが分かりません。
版違いなら、どの版を撮ったかで結果が変わるはずです。別系統のフィルムが二つとも同じ側に揃っていて、縮刷版だけが違う。そういうことになります。
縮刷版の作り方も聞きました。
紙面を縮小して印刷して製本するもので、元にするのは刷り上がった新聞だそうです。だから縮刷版のほうが、実際に配られた紙に近い、と説明されました。
それで説明がつくのかは、まだ分かりません。
配られた紙に載っていて、撮影されたものには載っていない。二か所で同じことが起きている。私にはそこまでしか言えないです。
問い合わせの方には、何も伝えていません。
そもそも別件の依頼でしたし、私が勝手に調べているだけなので。
次は町名を調べようと思っています。
三つの町名は、今はどれも合併して残っていません。旧町名です。市の文書館に地区の資料があるので、そこから当たります。
五件目があるかどうかは、まだ見ていません。