中学の頃、地元で流行ってた噂の話
Rさん(仮名・35歳男性・関西の卸売会社で営業職)から、サイトの体験談フォーム経由で届いた話。2026年4月に最初の投稿があり、その後メールで3往復、追加で取材させてもらった。仮名・地名のぼかしを条件に、掲載の承諾をもらっている。
これは関西の地元の話で、俺が中学の頃に幼馴染のグループで流行ってた噂なんですけど。
俺は関西の郊外の住宅地で生まれて、高校までずっと地元にいたんです。
いまは大阪市内のマンションで1人暮らしで、仕事はIT系の会社でサーバの運用やってます。
実家の方の中学は1学年3クラスくらいの小さい学校で、小学校から持ち上がりでメンバーがほぼ変わらなかったので、幼馴染と呼べる関係が中学のあいだも続いてたんです。
うちらのグループは男ばかり5、6人で、放課後はだいたい誰かの家か、町外れの公園にたむろしてたんです。
その噂が回り始めたのは、たしか中2の夏ごろ。
誰が最初に言い出したのかは、もう誰も覚えてません。
ある特定の番号に夜中の決まった時間に電話をかけると、ヤバいことが起きるらしい、という話です。
番号は11桁の携帯の番号で、最初の3桁は普通のキャリアと同じだったので、誰かが実際に使ってる番号なのかもしれない、と俺は思ってたんです。
かける時間は夜中の2時から3時のあいだ、と言われてたんです。
出るかどうかは半々くらいで、出ても何も言わずに切られることもあれば、低い声で何か呟かれることもあったらしいです。
聞こえたという奴が言うには、人の声というより、うめき声に近い感じだったそうです。それを聞いた人間は、数日のうちに体調を崩す、と。
うちらのグループでは、最初にかけたのはタクヤという奴。
タクヤは家が町外れの古い団地で、親父さんが夜勤で家にいないことが多かったので、夜中にこっそり試すのに都合がよかったんだと思います。
次の日学校に来たタクヤは、寝不足みたいな顔で、出たけど何も聞こえへんかった、と言ってました。
ただ、その週末から熱が下がらなくなって、月曜から1週間休んだらしいです。
復帰したときには、その話はもうしないでくれ、と1言だけ言って、それ以降タクヤはその番号の話には乗りません。
タクヤが休んでるあいだに、別の同級生が2人、それぞれ別の日に試したらしいです。
1人は繋がらなかったそうです。もう1人は、出たけどすぐ切れた、と言ってました。
すぐ切れた方は、翌週、部活の練習中に倒れて病院に運ばれたと聞きました。
脱水とか過労みたいな診断だったらしいですけど、本人は、あの番号にかけてからおかしい、とずっと言ってたそうです。
それからしばらく、うちらのグループの中ではその番号の話はタブーみたいになってたんです。
出所も結局、誰も分かってないままです。
1個上の先輩から聞いた、という奴もいれば、隣の中学の知り合いから聞いた、と言う奴もいて、どっちが本当かは確かめようがなかったです。
中3になった頃に、もう1人、ハジメという同じクラスの奴が試したと聞きました。
ハジメはうちらのグループのメインではなかったんですけど、たまに1緒に遊ぶ距離感の同級生でした。
誰かに半分けしかけられて、自分でかけてみると言ったらしいです。
そのあと、ハジメは学校に来なくなったらしいです。
最初は風邪と聞いてたんですけど、2週間経っても来なくて、結局そのまま転校したと先生から発表されたんです。
家族の事情、とだけ言われて、それ以上は何も説明されてません。
引っ越し先は誰も知りません。番号を試したのが本当なのかも、本人に確認したわけじゃないので、半分は噂です。
ただ、ハジメの1件以来、その番号の話を口に出すこと自体がやめになったんです。
俺自身は、その番号に電話したことはないです。
怖かったから、というより、タクヤとハジメの件があってから、確かめにいく理由がなくなった、という感じ。
高校に上がってからは噂自体を聞くこともなくなって、地元を出てそのまま長いこと忘れてたんです。
去年の夏、地元で同窓会があったんです。
集まったのは中学のときの同じクラスの8人くらいで、タクヤも来ていました。
酒が入って、誰かがふざけて、あの番号の話を覚えてるか、と言ったんです。
タクヤは少しだけ笑って、いまでもその番号は覚えてる、と言ってました。ただ、もう1回かけてみる気にはならない、とも言っていました。
その場で、別の2人が、自分も中学のときに1回だけ試したことがある、と話し始めたんです。
1人は出なかったそうです。もう1人は、出たかどうかも覚えてない、と言ってました。
覚えてないんですけど、その時期に部活で大怪我したのは確かで、いまも左膝に金属が入ってます、と話してました。番号と関係があるのかどうかは、もちろん分かりません。
ハジメの転校先を知ってる奴は、その場には誰もいませんでした。
番号の出所も、相変わらずどこにたどり着くのかは分からないままです。
1個上の先輩、隣の中学、塾の知り合い、ネットの掲示板、いろんな経路の名前が出ましたけど、どれも『誰それから聞いた』の連鎖で、最初にかけた人間の名前は誰の口からも出てきませんでした。
同窓会の帰り、タクヤと駅まで1緒に歩いたんです。
タクヤは、いまでも夜中に携帯が鳴ると、一瞬あの番号かと思う、と言ってたんです。
体がそう反応するのは止められないらしいです。俺は何も言わずに、駅で別れたと思います。
あの番号は、いまも俺の中で、かけようとは思いません。
ただ、地元のあのグループの中では、何人もが似たような輪郭の話を持っていて、その出所が誰にもたどれない、ということだけが、いまも残ってます。
― 取材記録 ―
受け取り日
2026年4月(投稿フォーム経由)
追加取材
メールで3往復
掲載許可
仮名・地名ぼかし条件で承諾
編集
地元の市町村名・幼馴染の名前・噂の場所を本人の希望で伏字。本筋は手を加えていない
― 三人のひとこと ―
すみ試した何人かが体調崩して一人は不登校、サンプル数増やしてもう少し責任ある検証してほしいですけど。
この話、どうだった?